2019年7月15日(月)12:21

八ケ岳好きとは言えども多分ほとんどの人が行ったことのない峰の松目

僕が運営しているヤマタクシードットコムサイト ( https://yamataxi.com ) で、この海の日連休中に茅野駅から桜平駐車場までのライドシェアを募集していた amomonte さんの相乗りプランに同乗して2週連続で八ヶ岳に行ってきた。

あまり天気が宜しくなさそうな予報の海の日3連休だったのだが、桜平分岐から上、予想以上のダートの悪路を経て目的としていた登山口の桜平の中駐車場に到着すると既に駐車する車で溢れかえっていたばかりか、至るところに路上駐車の車だらけだった。

自動車は軽なのでちょっとしたスペースに何とか止められないかとあれこれ頑張ったみたものの「やっぱちょっと無理かなぁ?」と試してみたところで、やってきた夏沢鉱泉の宿泊客送迎車運転のスタッフに「ここは通り道だろっ!」と怒られ(停めてみてわかりましたよ。そこまで怒って言わなくても...)仕方なく来た悪路を戻ってやっと駐車できた。途中、悪路を戻る時、今度は追いついてきたタクシーにクラクションで煽られ「こっちは軽なんでそんなにスピードできませんよ!」と思いつつも先に行ってもらうこともできず。そう言えば、数年前に穂高駅から中房温泉までた客としてタクシーに乗った時、前をゆっくり走る女性の車を煽りに煽って抜かして行ったことがあった。そんな運転されると乗っているこっちが怖いですから。長野のタクシードライバーは運転が荒いのかなとちょっと思っている。

とは言え、やっぱり連休や夏休み中の土日は自動車で登山口に行かない方がいいなと改めて思った。それこそもっとタクシーやマイカーをシェアして行けば山の環境負荷も低くなると思うのだが...山の自然への社会貢献を思っても頑張ってもっともっとヤマタクシードットコムの認知を広めて普及させたいなと改めて思った。

登り始めると体が重いしすぐに喉が渇く。今日はザックも軽いしまだ夏沢鉱泉の車も走る林道なのだが。ここ桜平から登るのは2度目なのだが最初に来た時もなぜか相当にへばった覚えがある。他の八ヶ岳の登山口に比べるとここは楽なはずなのだが。夏沢鉱泉についてちょっとでも軽くしたいなとザックにしまっておいたチューハイを飲む。

うん?思い返せばそのくたばった最初もここでビールを飲んで喉を潤したが回復するどころかなお一層へばったのを思い出した。

オーレン小屋に着く。ペースが一向にあがらない。見上げる八ヶ岳の稜線も雲の中で全く望める気配もなくここで今日は八ヶ岳の稜線を歩くのはもうやめようと思った。そして、もう30回以上も来ている八ヶ岳でまだ踏んだことのない頂、超マイナーだがいつか一度は訪れてみたいと思っていた「峰の松目」に行くことにした。

もちろん写真でそのピークのあまりの地味さは知ってはいたが、到着するとこの天気で雲に囲まれ、さらに樹木に覆われ展望のないその頂は、この人気の八ヶ岳でも好き好んで訪れる人はいないだろうなと納得できるほどの地味さだった。

山頂に3分もいればもう十分なほどですぐに頂をあとにした。

峰の松目に登っている途中ここで地図読みの間違いをしたことに気づいた。オーレン小屋から登り赤岩ノ頭へ登っていたのだが今日はあまりにきついので、その分岐にザックをデポして峰の松目に向かったのだが、山頂まで20分と書いているのに一向にピークに近づく気配がないのだ。それどころかその途中に「天狗岳-峰の松目-オーレン小屋」という分岐がある。あれこれ考えるが20分の距離ということでザックに地図を置いてきしまっていたので確認のしようがない。

とにかく峰の松目に向かったのだが空身で歩いたのにザックをデポしたところから25分以上掛かっている。あぁパッと地図を見ただけだったから何か間違えたなと思った。

ザックをデポした分岐まで戻って地図を確認する。ここは赤岩ノ頭に直接登る分岐で峰の松目に登る分岐ではなかった。となるとここから峰の松目山頂までは45分くらいの距離になる。しかもこんなにくたばっている今日なのに無駄にも標高差150mほど登って下りてきている。もし山頂まで20分と勘違いしていた「天狗岳-峰の松目-オーレン小屋」分岐までザックを持って行っていたら、あと40分もあれば赤岩ノ頭に着いたのに...

仕方がない。再び歩き始める。今日の体の調子の悪さに加えてもう精神的ダメージも大きい。見上げると一向に無くなりそうもない雲を眺めて今日はもう稜線を歩くなんて気持ちは全くなくなった。

赤岩ノ頭が近づくと傾斜がきつくなり持ち上げる一歩一歩の足が重い。前回と同様に途中飲んだ酒が悪かったのかこの桜平からの登山は相性の悪い鬼門のように感じた。

何とかやっと赤岩ノ頭に着く。今日は朝の電車の中で大福餅を2個食べただけだからシャリバテもあるのかな?と座り込んで残った餅を食べた。風が通り抜ける森林限界上はすぐに体が冷える。そうこうしていると今度は雨粒が落ちてくる。今日は18時過ぎから雨という予報だったのだが...つくづく今日は良くない日だなと思った。森林限界上で雨に降られるのを避けるようにすぐに下山し始める。

赤岳鉱泉への下りは歩きにくく感じた。そう言えばもうここ何年も雪のある季節にしかここら辺には来ていない。トレースのある雪道は平坦でクッションがあって歩き安いが、むき出しの登山道は不規則に岩や石があり、木の根っこがあり、段差があり、とても歩きにくいのだ。

まだまだ小雨の雨に追われるようにビールも飲むことなしに赤岳鉱泉を後にする。時々、雨粒が大きくなったりするが何とかレインウェアを着ることなしに美濃戸まで下りてくる。こういう日の一人歩きの下山はあれこれネガティブなことばかり考えて沈みがちな気分になってしまう。今日は山に来ずに自宅にいた方が良かったのかな...

美濃戸から先、今夜宿泊する美濃戸口まであと50分ほど。四輪駆動車なら通ることができる長い長い林道歩きだ。次第に雨も強くなってきたので傘をさして歩く。一台の車が後ろから近づいてくる。林道の端に寄って車が通り過ぎるのを待っていると丁度真正面に来た時に車が停まり窓が開く。「美濃戸口まで乗せて行ってあげようか?」自動車に乗った2人組の男性に声を掛けていただいた。

ネガティブな気持ちで歩いていた今回の登山の最終盤、救いの神のように現れた御二方の優しさに触れ少しほっとした気持ちになった。本当にありがとうございました。

美濃戸口に着いて少しすると雨が次第に激しくなってきた。「持ってなかった日」の中で本当にラッキーな出来事だった。と同時にやっぱり登山者の間でもっともっとライドシェアが普及すればホントにいいのになと改めて思った。

もっともっとよし頑張って普及させるぞ!

ルートマップ

ルートデータ

入山日
2019/7/13
下山日
2019/7/13
距離
14.0km
最高点
2,656m

トレッキングレポート

桜平の登山口までライドシェアしてもらった amomonte さん。とてもフレンドリーで楽しく登山口まで行くことができました。翌日、結構な雨だったのであのダートの悪路を問題なくちゃんと戻れたのかちょっと心配...
桜平の中駐車場は60台駐車することができるがご覧の状態!ちょっと強引な路駐もたくさん。桜平の中駐車場から登山口のゲートまでは0.6kmだが、下駐車場からゲートまでは3.5km(歩けば1時間30分)あるから、何とかして中駐車場に駐車したくなるだろうな。先に停めた方々の駐車がほんと大雑把でー!ちゃんと詰めて駐車すればあと5~6台は停められそうな感じだった。
さて、ここから登山開始。夏沢鉱泉までは宿泊客を乗せた夏沢鉱泉の乗用車が行き来できる林道を歩く。
今から向かう八ケ岳の稜線は雲の中。「てんきとくらす」の予報では18時までA予報なんだけどな、この状況じゃ期待はできなさそう...
釣り人の性で沢があると必ず覗き込んでイワナを探してしまう。八ヶ岳界隈の色んな沢を覗き込んできたがイワナの気配をみたことがない。いないのだろうか?それとも~鉱泉の下流は成分的に生息できないのだろうか?
こういう10~15人の団体登山者がたくさん。天気が悪いから今日はやめたとか言えないから大変そうだなと思ってしまう。
そんなに大した登りじゃないのに今日は体調が悪いのか息が切れるし足にすぐ乳酸が溜まる。
やっとオーレン小屋に到着。ホントに「やっと」という感じ。前回、ここに来た時も全く同じ感じだった。この桜平からのコースは何だか相性が良くなさそう。
硫黄岳の稜線は雲の中だし早々に諦めてまだ行ったことのない超マイナーピーク峰の松目を目指すことにする。
まだ午前中というのにオーレン小屋のテント場はご覧の盛況ぶり。朝早く来てテントを張って荷物を置いて軽身で硫黄岳や天狗岳をピストンするのだろう。
オーレン小屋から赤岩ノ頭に登る途中にある峰の松目への分岐。ここにザックをデポして峰の松目に向かう。思い返せばここでちゃーんと地図を確認しなかったのが無駄足の始まりだった...
峰の松目山頂までコースタイム20分となっていたけど一向に山頂が近づく気配がないなと思いながら歩いていると『硫黄岳・峰の松目』という分岐に出た。「???」どういうことだ?20分と思い地図を持ってこなかったので確認のしようがない。どう考えても峰の松目はもうここから遠くないはずだけど、ちょっと不安になりザックをデポしたところまで引き返そうか、結局、この先、ずっと峰の松目山頂に到着するまで迷った。
その???分岐を過ぎると峰の松目山頂へ一気に標高を上げていく。人も少ないだろうからちょっと道が荒れていて、さらに雨が降った後なので滑りやすく下りにちょっと気を使った。
どうですっ!この地味~~~な山頂。展望はありません。広さは3畳ほどでしょうか?写真を撮って3分もいればもう十分(笑)
ザックのデポ地に戻って地図を確認する。30分は無駄に使ってしまった。しかもこんな調子がすぐれないときに無駄な上り下りを繰り返すなんて…そんなことを考えるとどんどん嫌になるので「麦わらの~♪」とあいみょんの歌でも口ずさみ気を紛らわしながら登ることにする。
標高が上がるにつれて現れた丹沢バカ尾根にも似た階段。着きそうでなかなか着かない赤岩ノ頭。
や~~~っと。標識が見えた。ちょっとの距離が何と遠かったことか…
赤岩ノ頭に着いて硫黄岳の山頂を眺め上げると雲に覆われていた。すでに疲れ切って行く気はなかったが「山頂は雲に覆われているから行けなくて仕方ないよね」とヘロヘロで情けない自分自身に言い聞かせる。
何の花だろう?その花越しに赤岩ノ頭で写真を撮る女性。
赤岩ノ頭でしばらく休憩していたら霧雨が降ってきたのですぐに下山開始することにした。今日は持ってない日だ。赤岩ノ頭から下りの夏の登山道は岩やら木の根やらで歩きにくい。
厳冬期にはアイスクライミングの人気場所になるジョウゴ沢。やっぱりイワナがいないかしばし眺めてみるが気配はない。
赤岳鉱泉はすでに今日の行程を終え思い思いにくつろぐ登山者でのんびりモード。雨が本降りになる前に僕は登山口までもう2時間ほど頑張って歩かなければならない(泣)この先の道は平凡で半分以上ただの林道歩きで面白くないし、できるなら僕ももうここで今日の行程を終え他の登山者と山の話をしながらビールでも飲んでのんびりしたい…
背中にMAKUHARIと書いたTシャツを着たたくさんの高校生の集団がテントを張っていた。明日、山頂を目指すのだろうか?残念ながら明日はほぼ雨だろうよ…グッドラック!
シロバナノヘビイチゴが真っ盛りのようでいたるところで群生していた。
昨年の大雨の影響でずいぶんと登山道が変わったが、ここのナメた岩場が雨に濡れたら滑りそうでちょっと怖そう。
雨が本降りになる前に八ヶ岳山荘に到着。あとはここで明日朝まで酒でも飲みながらまったりと過ごすだけだ。美濃戸から車に乗せていただいた男性の御二方、本当にありがとうございました!
今日は途中で飲まなかったのでウィスキーがたくさん余っている。晩飯を自炊して独り楽しく飲み始める。ちびちびと夜まで飲むかー。八ヶ岳山荘でフリーWi-Fiが使えるようになったみたい。
夕方になると次第に雨足が強まり本降りになってくる。雨の中を歩くのは嫌いだが、こうやってしとしとと降る雨の音を静かに聞きながらぼーっと眺めているがとても好き。何だかすごく心が落ち着く。
翌朝、目を覚ますと本格的な雨になっていた。風呂に入って、朝食を食べまったりと10時20分発の茅野行きの始発バスを待っていると、赤岳鉱泉にテントを張っていた高校生の集団がびしょ濡れになって下りてきた。「今朝は上(山頂)にあがれたのかい?」と聞くと今日は登らずに下りてきたと。

それにしても「こんなにたくさん高校に山岳部員いるの?」と聞くと「はい」と。かなり山ブームは落ち着いた感じがするけど、こんな男女とも若い人たちがたくさん山岳部に入るんだなと思っていると「スポーツクライミング部も一緒なんで」と。そうか。スポーツクライミングがオリンピック種目になったのもあって若い人たちの間では人気があるんだ。

今の高校生たちは色々と多種多様なスポーツの選択があってうらやましく思う。高校まで野球部で殴らたり怒鳴られたりしても歯を食いしばっていた世代としてはー。辞めたら最後、もう体育会系の先輩後輩の先生同士の忖度全開でよその部に入ることは許されなかった。もっと選択肢があったら色々してみたかったな。きっとこういう新しいスポーツでは根性第一のような指導はもうないんだろうな。少なくともカラカラの喉で白い唾のかたまりを口の両端につけているようなことはー。

それでも山を登るとある程度水を飲まなくても我慢できてしまう、いやちょっと我慢してしまう自分自身がいるのが怖い。昔取った杵柄か?健康にはとても危険だけど(笑)

データ

  • 入山日: 2019年7月13日(土)
  • 下山日: 2019年7月13日(土)
  • 登山エリア: 八ヶ岳周辺
  • 登山ジャンル: 縦走登山
  • 登山スタイル: 小屋泊まり
  • メンバー: ソロ
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